パフューマー
シエスタで嫉妬、砂浜でエッチ
「はぁ」
ラナは白い砂浜に敷かれたカラフルなレジャーシートの上に座り、広げたパラソルの下で小さなため息をついた。シエスタの賑わいは想像以上で、遠くからは色んな楽器の音、目の前の浜辺や水際では楽しそうな声が
数メートル離れたところではイフリータを始めとしたオペレーターたちが、バーベキューで商売をしている。何やら爆発騒ぎまで起こしていたようで、ロドスの面々は騒ぎを起こさずにいられないらしい。
賑やかな街とは裏腹に、ラナの気持ちは沈んでいる。美しい音色も、楽しそうな声も、今はノイズにしか感じられない。
白いジップアップパーカーから伸びる白い素足を、砂に埋めてみる。サラサラとした砂の中は熱くて、すぐに砂を手で払った。
シエスタに到着したのは昨日の事。ドクターとレジャーを楽しもうと思っていたのだが、ドクターはアーミヤに連れて行かれてしまい、ようやく連絡がついたと思ったら巨大オリジムシと戦うハメになり、挙句新しい女性オペレーター志願者が履歴書を提出してきた。ドクターとも親密そうで、自分がいない間に何があったのか、気になって仕方がない。しかしそれを詮索するのも、面倒な女と思われるかもしれない……、と思うと、何も聞けないのであった。
こんな風に嫉妬をしてしまう自分が嫌になる。
以前ドクターに「ラナの事が一番だ」と言ってもらえて、もう大丈夫だと言ったのに。嫉妬をしたら、伝えると言ったのに。肝心のドクターに会えていない。
「はぁ」再び小さなため息が出る。ため息は誰に聞かれる訳でもなく、周囲の賑わいに掻き消される。
療養庭園の草花に囲まれていた方が良かったのかもしれない。深い緑、淡いピンク、鮮やかな黄緑——庭園で育っている色とりどりの植物を思い出し、心が少し落ち着く。
「海岸に行きましょう」と、ミルラとポデンコに半ば無理矢理、この海岸まで連れてこられた。隠していたつもりだが、気分が落ち込んでいたラナを気づかっての事だというのは直ぐに分かった。元気付けようとしてくれる二人には感謝しかない。が、どうやっても気持ちを切り替えられなかった。
以前なら、落ち込んだとしても前を向いて頑張れたのだが。
「パフューマーさん、お待たせしました。どうぞ」
上から大人しい声が降って来たので顔を上げる。大きなメガネをかけたおさげ髪の少女が、カップに入ったソフトクリームを差し出している。シンプルなワンピースの水着にカーディガンを羽織っており、額にはじんわりと汗が滲んでいる。
「ありがとう、ミルラ」ハイビスカスに似た造花と小さなパラソル、スプーンが挿されたソフトクリームを受け取り、一口食べる。熱で溶けかかったバニラ味のソフトクリームで、口の中が一気に冷やされる。
「色々あって、迷っちゃいましたね」
チューブトップの水着とカーディガンを着たポデンコは、ミルラと共にレジャーシートに座り、手に持ったクリームソーダを喉に流し込んでいく。他にもホットドックやヤキソバ、シュラスコやタコスまである。
「随分買ったのね」
「これでも選び抜いて買ってきたんですが……。楽器の形に焼かれたパンケーキを売ってる屋台もありましたよ。音楽のお祭りって感じがしますよね」
ラナと同じソフトクリームをぱくぱくと口に運びながら、ミルラは見てきたものを楽しげにラナに話してくれた。普段から懸命に仕事をし、時折暗い表情を見せる事もあるミルラが、こうしてレジャーを楽しんでいる事が嬉しかった。
「食べ終わったら、海に入りましょう。ビーチボールもある事ですし」
尻尾を振りながら、ポデンコはタコスを頬張る。
こうして二人が楽しんでいるのに、いつまでも落ち込んでいるのは失礼だ。ラナは小さく、しかし力強く息を吐き、気持ちを入れ替えてソフトクリームを平らげようとした。
「あ、美味しそうなもの食べてる」
聞き慣れた低い声が耳に入り、胸が高鳴る。
後ろからやってきた男性は、ビーチに不釣り合いな黒いフードつきのコートを着ていた。レジャー気分を味わう気が一切ないように感じる男性は、ラナの目の前にしゃがみ、被っていたフードを外して「一口くれ」とソフトクリームをねだって来た。
すぐ側にミルラとポデンコがいるのに、どうしてこう、素直に甘えられるのか——
ここで恥ずかしがってしまうと、二人に変に思われてしまうと思ったラナは、ソフトクリームが乗ったスプーンを無言でドクターに差し出した。開かれた形の良い唇、綺麗な舌——一瞬見えた口内にドキっとしていたら、口が閉じられる。甘い物を食べたドクターは満足そうに微笑むと、レジャーシートに広げられた食べ物を一瞥した。
「随分買ったんだな」
確かに、小柄な女性三人が食べる量にしては多い。
「ドクター、食べるならお金を払って下さいね」
「オペレーターが買ったものを食べる訳ないだろ」
真面目な顔でそんな事を言うが、ポデンコもミルラも信じがたいといった表情になっている。ドクターはそんな事はしない。しないが、しそうな雰囲気があるので直ぐ否定も出来なかった。
「ラナの事、借りてもいい?」「どうぞ」ミルラとポデンコは即答する。
「海で遊ぶって——」言い終わる前にドクターはラナの腕を取り、駆け足で屋台の奥へと移動した。こんなに早く動ける人だったのか——
「これでパフューマーさんも元気出ますね」
「うん」
レジャーシートに残された二人は、手付かずの食べ物をどうしようか考えながら、ジャンクフードをもくもくと食べた。
◇ ◇ ◇
ドクターに手を引かれ、人混みの中を歩く。笑い合う男女、小さな少年を肩車する父親、路上で楽器を弾くアーティストに、聞き入る観光客。レストランで食事をする老夫婦や屋台に並ぶ人々。色んな人種、色んな年齢の人が、この祭りを楽しんでいる。
黒曜石で出来たアクセサリーがズラッと並ぶ露店に人集りが出来ている。鉱石病に効くという謳い文句を信じているのか、単にシエスタ土産としてか、ともかく露店は儲かっているようだった。クローニンがやった事を知っているだけに買う気にはなれないが、ああいう土産も、一つくらい買って良いかもしれない。
「ラナ、今日はいっぱい遊ぼう」
ドクターは振り向いて、目一杯笑った。繋がれた手の熱が増していく。
常に誰かに話しかけられるし、誰かと行動しているから、今回はラナと遊ぶ事など考えていないのかと思っていた。無理矢理連れ出さないと、遊んでくれないとも。無理を言う方ではないので、今回は諦めていたのに——
でも、ドクターはこうしてラナを連れ出してくれた。いじけていたのが恥ずかしくなる。本当に、ラナの事を考えてくれていた——
「……うんっ」
二人はレストランのオープンテラスに座り、人々が行き交う通りや海を眺めながらパンケーキを食べた。ドクターは大量のクリームが乗ったものを注文し、ぺろりと平らげてしまった。ラナはベーコンエッグとポテトのパンケーキをもくもくと食べ、その間、ドクターの話に耳を傾けていた。
食事が終わると、セカンドアベニューでジャズの演奏を聴く。音楽に造詣は深くないが、それはドクターも同じなようで、分からないなりに音楽を楽しんだ。
露店を見て回り、公園でスケートボードをする少年少女のパフォーマンスに感動したり、見る物全てが楽しい。
「そういえば、その下って水着だよね」
ベンチに腰掛け、海を見ながらシャーベッドを食べていると、ドクターは思い出したかのように言った。真っ白いパーカーの事を言っているようだ。
「水着、だけど……」
「見たいな」
手を引っ張ってくれた時も、レストランに入った時も、公園に行った時もそんな事を言わなかったのに、急に言われると恥ずかしくなる。パーカーの裾を少しだけ伸ばして、太ももを半ばまで隠したが、手を離すと太ももが露わになり、余計にドキドキした。
「こ、ここは、海じゃ、ないし」
「じゃあ海に行けば見せてくれるの?」
黒いコートの恋人は、ラナの目をじっと見つめてくる。改めて水着姿を見たいと言われると、恥ずかしい。
「ドクターくんの恰好じゃ、海に入れないでしょ」
シャーベットの冷たさで全身の熱が取れないかと思い、勢いよく食べたが、頭が痛くなるだけだった。
「大丈夫!」
そう言うとドクターはラナの手を取り、海岸の方へ歩き出した。
◇ ◇ ◇
遠くの方で人々の歓声が聞こえる。どこかの通りで有名なアーティストがパフォーマンスをしているのかもしれない。ドクターとラナは、そんな賑やかさと真逆の海岸を歩いていた。砂地だった足場は岩場になり、足元が悪いこの場所に寄り付く人はいない。
ドクターと手を繋いで、滑りやすい岩場を歩く。転びそうになり、ドクターに強くしがみついたりもした。服の上からでも分かる、男性らしい頼もしい腕に、大きな手のひら、広い胸。そして、いつものいい香り——ただしがみついただけなのに、胸が高鳴って、頬が赤くなるのが分かる。
人気のない岩場を慎重になって歩いていると、小さな砂浜が見えてきた。草木は手入れがされておらず、茂みに隠れるように大きな岩が聳え立っている。どうやら山になっているようだ。喧騒は木々に遮られ、全くと言っていい程聞こえない。
晴れた青い空と澄んだ水の青、シエスタの豊かな緑と白い砂浜は、今、ドクターとラナ、二人だけのものだ。
「わぁ、綺麗……」
「良いでしょ。昨日遠くからここをみつけて、良いなって思ってさ。今朝下見に来たんだけど、想像以上に綺麗だったから、一緒に来たくて」
「ドクターくん……」
緑に囲まれた小さな砂浜に、漣が寄る。今朝姿を見掛けなかった理由がわかって、つっかえていたものが全てなくなった。
熱された砂浜から海に入ると、その冷たさがより際立つ。自然に囲まれながら水遊びをするのも久しぶりで、童心に帰ったように足で水を蹴ると、水飛沫は空中で日の光を浴びてキラキラと輝いた。
「ドクターくんは入らないの?気持ち良いわよ」
そう言われて、ドクターはコートと白衣、靴と靴下を脱ぎ、パンツの裾を上げた。服の下に水着を着ているかも、と思っていたが、本当にいつも通りの服装だったのがおかしくて、思わず笑ってしまった。
「なんだよ」少し照れながら海の中に入ったドクターは、手で水を掬ってラナへ掛ける。ラナもお返しに水を掛ける。こんな事、人目がある大きな砂浜では出来なかっただろう。
ドクターはラナに近づき、頬をそっと撫でると、軽く口づけをした。ほんのりとした人の熱と、傾きかけた太陽の光で顔が熱くなる。寄せては返す波、風に揺れて擦れる木々の音、小鳥たちの囀りが二人を包む。
「水着、見てもいい?」
こくん、と頷くと、ドクターはラナのパーカーをそっと脱がした。濃紺のフレアビキニが風に揺れ、白い肌が陽の光に照らされる。肩を持ってまじまじと水着姿を見られ、恥ずかしさと不安が胸に込み上げてきた。
「恥ずかしいんだけど……」
「でも俺の為に選んでくれたんでしょ?」
そう言われると、より恥ずかしくなる。シエスタに到着して、ミルラとポデンコと共に購入した水着は、確かにドクターの事を考えて選んだ。
顔がどんどん熱くなっていく。太陽の日差しだけでは説明がつかないくらい、顔が赤くなっているのだろうが、ラナは俯かずにドクターと視線を合わし「……似合う?」と恐る恐る聞いた。
「勿論。凄く似合ってるし、綺麗だよ」とドクターは頭を撫でてくれた。
「あのね、昨日、一緒に遊べなかったし、新しい女性オペレーターも増えて、また嫉妬しちゃったの……。ドクターくんが一番に考えてくれてるって、言ってくれたのに……」
「不安にさせてごめん。俺もラナと一緒に過ごしたかったよ」
ドクターはラナの頬に唇を寄せ、二度キスをした後、そのまま首筋へ移動し、舌で舐めてきた。躰がぞくっとし、緊張してしまう。
「はぁっ、ダメ……、汗かいてるから……」
「じゃあ、水で流せばいいね」
ドクターの唇が胸元まで移動し、何度も軽いキスをする。そのままラナを押し倒し、二人ともずぶ濡れになった。ラナは水着だからいいものの、ドクターは普段着なのに。
腹を舐められ、太ももを撫でられる。
——ああ、今度はここで、抱かれるのか——
人が来る気配がないとはいえ、外でセックスをするのが恥ずかしかったが、ラナの股間の奥はとうにドクターを求めて疼いていた。
◇ ◇ ◇
ドクターは黒いコートをレジャーシート代わりにして、木陰になっている岩を選び大きく足を広げて座っている。水浸しになった服は日当たりの良い場所で乾かしており、風がそよぐと髪も揺れる。ラナはドクターの足の間に入りこみ、熱に浮かされた男根を唇の奥で包み込んでいた。
「んっ、んん……、んぅ……」
何度か舐めているうちに、ドクターが悦ぶ場所は把握出来た。そこを刺激し過ぎると、直ぐに果ててしまう事も覚えた。ゆっくりと根本から先端まで舌を這わし、舌の付け根の方で裏筋を押し上げる。ドクターから甘い声が漏れ、肉棒もぴくんと跳ねるのは、気持ち良くなっているという事だ。
亀頭を頬の内側に擦り付け、竿の側面を舌先でなぞる。そのまま全体を舐めるように、あまり強くなり過ぎないように舌を動かす。ドクターは、自分のもので膨れたラナの頬を撫でた後、毛並みのいい耳を撫で、指を中に入れてくすぐって来た。身を捩りながら口での奉仕を続けていると、陰嚢が少しだけ硬くなっている事に気付いた。
「ぷは……、気持ち良い?ドクターくん」
ラナは唾液にまみれたペニスを白い指で包み、上下に擦り上げる。袋を唇で喰み、舌で舐めてから口の中に含む。ドクターは熱い吐息を吐き、「気持ち良いよ」と言いながら頭を撫でてくれた。
口の中で玉を転がしながら、指で鈴口をぐりぐりと押すと、ドクターの腰が少し跳ねた。カリの弾力を指先で愉しんだ後、親指で裏筋を強く撫でてみると、ドクターの反応はより良くなった。
ラナは水着を下ろして白い乳房を露にし、唾液をペニスに垂らすとそれを胸で挟む。敏感な先端を唾液と共に、柔らかな胸で揉み込み、乾かないように涎を垂らしては、ドクターの顔を見て胸の形を変形させる。
「これ、気持ち良いの……?」
明らかに口で奉仕している時の方が反応が良いだけに、不安になる。ドクターはラナの硬くなった果実を二つ摘みながら、気持ち良いよと答えた。
「まぁフェラの方が気持ち良いけどね。こんなエロい事しなさそうなラナが、自分の躰でちんぽを扱いてるのが興奮するんだよ」
「んあっ、だめ、摘まないで……」
息を荒くしながら、胸で奉仕を続ける。ドクターは乳首を摘んだり、持ち上げたり、胸の中へ押し込んだりと、遊んでいるようだった。その度に感じてしまい、下半身が疼いてしまう。
「ラナが青姦してくれるなんて思ってなかったから、嬉しいよ」
「……あんな、大きくされたら……」
浅瀬で何度も躰にキスをされ、喘ぎ声を我慢出来なかった。ドクターがショーツの上から筋を撫でてくるので、ラナもドクターのものを触ったのだが、そこはすっかり血液を溜め込んでいたのだ。勿論、躊躇はしたが、ドクターの体温、誰もいない事、ラナ自身も躰が熱ってしまった事もあり、意を決してアブノーマルな事を了承してしまった。
ドクターはラナを立ち上がらせ、細いくびれを撫でた後、じっとりと濡れたショーツをずらして秘部をさらけ出す。
「ちんぽしゃぶって濡れちゃった?」
指が割れ目をなぞり、とろとろの蜜を纏う。敏感になっている肉芽を指で弾きながら、唾液に濡れた乳房を舌で舐めあげる。
「は、ああッ……、これ、は……、ちが……」
「違うの?水にしてはネバネバしてるよ」
「あああッ!だめ、クリは、すぐにッ」
ドクターの指の動きが早くなり、立っているのがやっとになる。足が震えて倒れそうになるのを、ドクターの両肩を掴んでなんとか堪えるが、ドクターはそんなラナを突き放し、自力で立つように言う。
くちゅくちゅと音を立てて肉芽が擦られ、ラナの声も抑えが効かなくなっていく。いつもより感じ易くなっているのは気のせいか。リゾート地ならではの開放感がそうさせるのか。触れられている場所から、絶頂の前に感じる強い快感が迫り上がってくる。
もう少しで、外で、果ててしまう——
ピタリ、とドクターの指の動きが止まる。指が離れ、秘部から糸が伸びる。日に当たってキラリと光る糸が切れると、指がドクターの口の中へ入った。濃い愛液を舐められ恥ずかしくなったが、ドクターはよりラナを恥ずかしがらせる。
「ちんぽしゃぶって、気持ち良くなったんでしょ?本当の事言わないと、もう触ってあげないよ」
絶頂を迎えるのを分かって、指を離された——お腹の奥がじんじんとする。躰が果てたいと疼いている。
ラナは目を瞑って、水だけではない、愛液にも濡れたショーツを膝下までおろし、指で肉芽の皮を剥いて見せた。蜜で艶やかになった芽は綺麗な赤みを帯びていて、触れば直ぐに弾けてしまいそうだった。
「……お、おちん、ぽ、舐めて、気持ち良く、なってました。……ドクターくん、イかせて……」
こんなに恥ずかしい言葉を言った事がない。泣きたくなるくらい恥ずかしかったが、ドクターは満足そうに微笑むと肉芽を優しく撫でてくれた。
「くううッ!んんんッッ‼︎」
足に力を込めて全身を駆け巡る快楽に耐える。息をするのも大変なくらい、躰が悦んでいるのがわかる。くりくりと肉芽を一定のリズム、強さで擦られ、崩れ落ちそうになる足をなんとか立たせる。肉芽の皮を指で抑え、果てる事に集中する。
「ああッ、気持ち良い!クリトリス、好きっ、んあああッ!いく、いくッ——」
躰が震え、絶頂を迎えた。晴わたる空の下で、香る緑の中で、芳しい愛液が割れ目からこぼれ落ち、尿道からは透明な水が勢いよく出てくる。
「あっ、あ、あ——」
ドクターにもたれ掛かり、果てる躰を落ち着かせる為に大きく深呼吸をする。部屋のように声が反響しない外では、ラナの声が空に吸い込まれていく。もし誰かに聞かれたとしても、今なら賑やかな通りからの音と混じるだろう。震える躰にそよ風が当たり、外で裸同然になって果ててしまった事が、再びラナを興奮させる。
「良くできました。偉いね」
背中を撫でられ褒めてくれたが、今はそれすらも愛撫に変わってしまう。
「
ドクターは蕩けきったラナの後ろに回り、尻尾を撫で、肉棒を秘部にあてがう。ラナも挿入しやすいように岩場に手を突き、腰の位置を調整した。ドクターの熱いものが躰の中を進んでくる。壁を掻き分け、蜜を絡めながらラナの奥を目指してくる。
「あッ、はぁあ……」
ラナの躰はもうドクターを拒む事はない。むしろ歓迎すべき者として門を開け放っているくらいだ。初めて後ろから抱かれたが、一番奥深くまでドクターを感じられるような気がする。そよ風が足の間を吹き抜けていくと、濡れた場所が涼しい。
「ああ、一番奥まで入ったよ」
「ドクターくん……、これ、すごい……」
まだ動かれていないのに、ラナの下半身の悦びようは凄まじい。肉棒をきゅうきゅうと締め付ける壺は、止め処なく蜜を分泌しているし、触られていないのに肉芽は大きさを増している。アナルもヒクヒクと皺を動かし、尻尾の付け根がぞわぞわとする。
乳首をピンと立たせたラナは、ドクターが動く前に、気持ちが良い場所に肉棒が当たるよう腰を動かした。頭の中は気持ち良くなる事でいっぱいで、ドクターからどう見られているかなんて考えもしなかった。
「んっ、んぁ、ああ……」
ぱちゅ、ぱちゅ、と蜜が音を立てる。いつもと違う場所にカリが引っかかり、膣に力を込めると、挿入されているのが良く感じられた。
「ああ、ああ♡きもち、いい♡はぁ、はぁッ」
良いところが見つかり、そこに亀頭が当たるよう何度も腰を動かし続ける。リズム良く尻をドクターの腰に打ち付け、何度も気持ち良いと呟いてしまう。
「んうぅ、はぁ、はぁ、あっ、あっ、きもちい、はあぁ、ああ、ドクターくん、気持ち良い、のっ、んんう!ああぁ!」
「俺も気持ち良い。こんなに動いてくれて、嬉しいよ」
ラナの腰が離れ、再び打ち付けられるところで、ドクターも思い切り腰をラナに押し付けた。コツン、という感覚。今まで感じた事のない痛みと、頭の中が焼き切れるような快感。目の前が一瞬白くなり、豊かな緑が目に入る。手を突いている岩場に、小さな蟻が一匹、右往左往しており、お腹の奥がじんわりと熱くなる。
「あ゛——、あ゛♡なに、これ——♡」
「ああ、これ子宮口かな?ポルチオだっけ。ここ、気持ち良いの?」
ぐりぐりと腰を擦り付けられる。痛いのに気持ち良くて、頭の中は理解が追いついていない。肩を強張らせ、肉棒を強く締め付けてくる肉壁。呼吸は短く浅くなり、足が震えている。
「ここ、イヤ?離れようか?」
小刻みに腰を振って子宮の入り口をノックされ、躰が異様に跳ねる。汚い喘ぎ声が止まらず、何も考えられなくなっていく。
「その、まま♡ついて♡あ゛ッ、あ゛ッ、あ゛♡あ、それ、良い♡はぁ、ああッ」
今までも、奥深くにペニスを挿入された事はある。今さっきも、いつものように気持ち良かった。だけどこれは違う。同じ奥だけれど、こんなに理性がなくなる感じではなかった。躰は絶頂を迎える時と同じように震えていて、子宮を刺激される事が、こんなに気持ち良いなんて、知らなかった——
「はあ゛ッ!あ゛、う゛う゛ぅ‼︎それ、きもちいいっ、うう゛ッ、ふううッ」
同じ場所——子宮の割れ目——を何度も突かれる。腰の動きから激しい責めではない事はわかるが、躰で、脳で感じる快楽は、まるで射精する直前の、激しい腰の動きをされているかのようだった。
「あ゛あ゛ッ、あ゛あ゛あ゛ッ♡あ゛あ゛、あ゛あ゛、あ゛あ゛ッッ」
子宮と亀頭が何度もキスをし、離れると糸を引く。再び割れ目同士がくっついた時、ラナは声を上げずに激しく果てた。躰が痙攣し、膝は笑っている。膣の締め付けは今までの比ではない。尿道から潮がだらだらと垂れ、躰が壊れてしまったのではないかと思う。
「ッ——、あ゛——♡」
深い絶頂を味わっていると、尻尾を撫でられた。尻尾の先まで敏感になっていたので、思わず躰がビクっと跳ねてしまった。
再度腰を軽く打ちつけられると、肉棒で栓をされている穴から愛液が飛び出してくる。ぱちゅ、ぱちゅ、ぱちゅと、絶頂の最中を責められ、悦びの声が海岸中に響き渡る。
「んあああ♡ドクター、くんっ、だめぇぇ♡イって、る♡あ゛あ゛あ゛ぁぁ、そこ、だめ、子宮、パンパン、しないでぇ♡イク、イクッ、いぐう゛う゛!」
ポルチオを何度も刺激され、潮を漏らし続け、膣の痙攣は止まらない。ドクターは果て続けるラナを容赦なく犯し続ける。
「凄い、ラナ……。イキっぱなしじゃないか。全然強くしてないのに……。いきなりポルチオを責められてイけるって、セックスの才能あるよ」
「お゛ッ、お゛ッ、お゛うう゛ッ♡」
ドクターが何かを喋っているが、聞き取れない。頭の中は真っ白で、目の前もチカチカして眩しい。お腹の中が気持ち良くて、何を言われたかなどどうでもいい。この気持ち良さを、ずっと感じていたい。
ラナは立っていられなくなり、砂地に膝をつく。ドクターも追いかけると、今度は思い切りラナの躰を突き上げた。
「か、はっ————」
子宮を擦り、奥の壁に肉棒が当たる。柔らかくなった子宮を何度も擦られ、何度も奥を突かれ、ラナの視界がハッキリとする。膣を肉棒が、強く突き上げてくる。後ろでドクターの激しい息遣いが聞こえる。
「そんなに締め付けられたら、もう無理だよっ……」
「お゛ッ、おお゛っ……!おあ゛ッ、あ゛ッ、あ゛はあ゛‼︎」
「ラナ、
ラナの返事を待たず、ドクターはラナへ愛を注ぐ。白く、しかし純白や純真といったものからはかけ離れた熱が、躰の奥へ注がれ、子宮に絡み白く染めていく。精液を全て注ぎ込まれ、ドクターがラナの躰から離れると、ぽっかりと空いた暗い穴から愛液と共に白い欲望が垂れてきた。
◆ ◆ ◆
空が朱く染まっている。遠くの空に何羽かの鳥の姿が確認出来、風は生暖かく、砂浜は徐々に熱を失っていく。
ラナの躰は未だに火照ったままで、砂浜に横たわる裸体のドクターの上に跨り、足を広げてその間で肉棒を咥え込んでいた。
遠くでの音はより賑やかになり、照明の光が木々の向こうに見える。
「はぁああ、はあ、はぁっ、はぁっ」
手足には砂がまとわりついていたが、そんな事気にしないでひたすら腰を上下させる。早い動きではないが、ねっとりと、じっくりと肉棒を味わう下の口からは、愛液が擦れて白くなり、ドクターの股間を汚し続ける。
「あ、あ、あ♡」
「そこが気持ち良いの?」
ラナが砂浜に手を突き、腰を同じ速度で、同じ位置に何度も上下させている。リズミカルな動きに、尻尾も左右に揺れて悦びを全身で表している。
「きもち、いいっ♡おちんぽ、きもちいい♡」
目の前で揺れる豊かな乳房の谷に顔を埋め、両乳首を親指でこねる。勃起して硬くなった乳首は、柔らかい乳房の中で親指に弄ばれる。谷間の汗を舐めると、ラナの腰つきが激しくなる。
「あはっ、ああっ、きもちっ♡あっ、あっ、あっ、いく、いくっ‼︎」
腰を深くまで落とし、ビクビクと躰を震わせている。肉棒を強く締め付け、躰の奥深くで絶頂を味わっている。
もう何度目か分からない絶頂を、ラナは繰り返している。子宮口で気持ち良くなる事を知った躰は、少しの刺激で簡単に果ててしまうようになった。ドクターの上で腰を振り、力が入らなくなったらドクターが動く。正常位でもラナは簡単に果てたし、座位でも絶頂をしていた。砂まみれになった躰を海で洗い、乳首も肉芽も丹念に洗うと、ラナは恍惚とした表情で何度も達した。
ラナはようやく満足したのか、ドクターの躰の上で身を休めている。
「満足出来た?」
「はぁ、はぁ……、うん……」
「じゃあ俺も、最後にいいかな」
顔を真っ赤にし、胸で息をしているラナが起き上がり、にこりと微笑む。
ラナを砂浜に寝そべらせ、横向きにさせる。片足を持ち上げ、広げられた秘部に肉棒をあてがい、そのまま奥へと挿入する。
「あっ……、あああ……、深い……♡」
ラナは砂を掴んで身を捩る。結合部は丸見えで、花弁の奥がヒクヒクと蠢き、肉棒を包み込んでいる。
ゆっくりと腰を動かし、ラナの反応を楽しむ。肉壁がいつもと違うところを擦り、亀頭が子宮口を突っつく。膣は力を込めたり緩めたりし、ラナは徐々に激しく喘いでいく。
「あぁ、ああ、んっ、はぁ!気持ち良い、これ、好き……♡」
自分で乳首を弄りながら肉棒を咥えるラナは、体勢こそ犯される形ではあるが、ドクターを犯しているようにも見える。
腰を動かす速度を上げ、強くラナを責め立てる。下がってきている子宮を何度も突き上げ、その奥へ進もうとする。肉棒を強く打ちつけると、ラナは気持ち良さそうな顔で、ドクターの欲情を煽る。
「ドクター、くんっ♡おちんぽ、気持ち良いわ♡もっと突いて♡もっとおちんぽちょうだい♡大好き、おちんぽ、好きっ……♡」
「壊れても知らないからな」
ドクターはグリグリと腰を押し付け、子宮口を亀頭でこじ開けようとする。赤ちゃんの為の部屋が押し潰され、凶悪な男が部屋の扉を力づくで開けようとする刺激は、さすがのラナも耐え難いようで、余裕のない表情になる。
「——ッ‼︎かはっ——‼︎」
腰を離し、再び子宮を突き上げる。何度も、何度も子宮を突いていると、やがて亀頭の先が子宮の口に吸い込まれる。ラナは既に絶頂を迎えており、声も上げずに、涙と潮を流しながら激しい責めに耐えていた。
「ラナ、大丈夫?まだ突くから、ちゃんと感じるんだよ」
「ぁ——、あ——」
「大丈夫、ラナが壊れても、ずっと愛し続けるから。大好きだよ」
躰を痙攣させているラナに、肉棒を激しく打ち付け続ける。ぐちゅぐちゅと中を掻き回し、子宮口を何度も何度も突く。ようやく躰の奥から射精感がやってきたので、子宮内に注ぐために最後の力を込めて涙を流す綺麗な
「
亀頭は子宮を押し上げ、入り口をこじ開けて、ラナの小部屋の中に子種を注ぎ込んだ。子宮の中がドクターの濃いミルクで満たされていく感覚に、ラナは身を退け反らせ、ビクビクと大きく震えている。乳首はこれまで以上に大きく反り勃ち、綺麗な唇からは舌がピンと伸び、目はどこを見ているのか分からない。
射精が終わってもドクターは肉棒を抜かず、萎えるまで絶頂するラナを見下ろし続けた。
◇ ◇ ◇
空に星が瞬くようになってから、二人は大通りに出た。何時間もセックスをし続けた二人に人々は構う事なく、この祭りを楽しんでいる。ドクターの黒いコートを羽織ったラナは、白衣姿のドクターと手を繋いで、虚ろな表情で足を動かす。一歩進むたびに、躰の奥がジン、と痛んだ。早く自室に戻りたかったが、早く歩く事が出来ない。膣を締め付けていないと、奥から白濁液が足に垂れてきてしまう。
「頑張れ、ラナ。一緒にお風呂に入って、洗ってあげるから」
「あ——♡うん♡」
行き交う人とぶつかり、膣から溢れるのを感じる。それでも精液を溢さないよう下半身に力を入れて、歩みを進める。汗なのか、精液なのかわからないが、太ももに液体が一筋垂れていくのがわかる。
ロドスはまだまだ遠い——